不動産を売却する際の議事録の書き方!利益相反や取締役会対応も

18不動産売却 議事録

取締役や代表取締役が当事者となる売買契約では、利益相反取引として扱われ、会社法上の適切な手続きと議事録の作成が欠かせません。特に法人名義での売却や、登記識別情報の提出が求められる場面では、記名や押印の有無、株主総会や取締役会の開催有無が法務局の受理可否を左右することもあります。

 

登記時の印鑑証明書の原本還付や添付省略が一部認められるようになったことで、議事録の記載内容や書類管理の基準も変化しています。知らずに放置してしまうと、登記の差し戻しや数十万円単位の損失が発生するリスクすらあるのです。

 

この記事では、不動産売却における議事録の役割や取締役会と株主総会の使い分け、最新の法務対応に至るまでを、会社法や法務局の実務に精通した監修者の知見をもとに、徹底的に解説しています。

 

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不動産売却に議事録が必要な理由とは?

不動産売却における議事録の役割と必要性

 

法人が不動産を売却する際には、議事録の作成が非常に重要な役割を果たします。これは単なる形式的な手続きではなく、会社法に基づき、取引の正当性を証明するための重要な証拠書類となるからです。特に法人が所有する不動産を第三者に売却する場合や、代表取締役が取引の当事者となるような「利益相反取引」のケースでは、法的にも議事録の作成が強く求められています。

 

  • 法人が所有する不動産を第三者へ売却する場合
  • 売却価格が高額で「重要な財産の処分」と見なされる場合
  • 代表取締役や取締役が売買当事者となる「利益相反取引」に該当する場合
  • 登記申請時に法務局から議事録の提出が求められる場合

 

これらに該当する場合には、取締役会議事録や株主総会議事録を作成し、会社としての正式な意思決定がなされたことを記録として残す必要があります。登記の場面では、議事録を添付書類として提出しなければならないことが多く、内容が不十分であると登記が却下されるリスクもあるため注意が必要です。

 

また、議事録は社内用の記録文書というだけでなく、社外の第三者機関(法務局・税務署・裁判所など)に対しても「適正な意思決定がなされた証明」として機能します。つまり、社内だけでなく、外部からの信頼性確保にもつながる大切な書類なのです。

 

議事録に記載すべき基本的な内容には以下のようなものがあります。

 

  • 開催日時および場所
  • 出席者の氏名および役職
  • 審議・決議された議案の内容
  • 決議結果(賛否の有無、全会一致など)
  • 発言の要旨や反対意見の記録(必要に応じて)
  • 議長・署名人の記名押印

 

議事録の有無やその記載内容が、後々のトラブルの有無を大きく左右することもあります。たとえば、売買契約後に「決議を経ていない」「議決権が足りていない」などの指摘を受けると、契約が無効とされるリスクもあります。

 

不動産売却のパターン 必要な議事録 主な提出先
通常の法人所有不動産の売却 取締役会議事録 法務局、社内保管
代表取締役が買主となる場合 株主総会議事録(利益相反取引) 法務局、税務署
売却価格が資本金の1/10を超える場合 取締役会議事録 法務局、登記申請書類
協同組合や組合名義の土地売却 取締役会議事録+出資者の同意書 登記所、関係金融機関等

 

登記手続きにおいては、議事録に加えて印鑑証明書の添付が求められることがありますが、「印鑑証明書添付省略制度」や「原本還付制度」を活用することで、提出負担を軽減できるケースもあります。こうした制度の適用条件や運用方法については、最新の法務局ガイドラインを確認し、必要に応じて司法書士などの専門家に相談することが望ましいです。

 

不動産売却に関わる議事録は、単なる社内書類ではなく「契約の信頼性を支える法的根拠資料」です。とりわけ中小企業やオーナー企業の場合、代表取締役が会社と個人の両方で関与するケースも多いため、利益相反の有無を明確にし、しかるべき手続きと文書で証明することが重要です。結果として、それが安全でスムーズな取引成立につながります。

 

取締役会と株主総会の議事録の違いとは?

 

不動産の売却に際し、法人が作成すべき議事録には主に「取締役会議事録」と「株主総会議事録」の2種類があります。どちらを用意すべきかは取引の性質によって異なるため、正しい判断をしないと手続き上のトラブルに発展することもあります。

 

取締役会議事録は、会社の経営を担う取締役たちが重要な事項について協議・決定した内容を記録したものです。一般的な不動産売却では、会社の意思として売却を決定する場面で取締役会議事録が作成されます。以下のようなケースが対象となります。

 

  • 一定額以上の高額な不動産売却(重要財産の処分)
  • 経営に影響するような大型の土地や建物の売却
  • 担保提供を伴う売却や法人保証付きの取引

 

一方、株主総会議事録は、会社の所有者である株主たちが経営判断を承認する際の記録です。特に、代表取締役や取締役が取引の当事者となるような「利益相反取引」に該当する場合には、取締役会の決議だけではなく、株主総会での承認も必要となるため、株主総会議事録の作成が求められます。

 

たとえば、次のような場合は株主総会議事録の提出が必要となります。

 

  • 代表取締役が会社所有の不動産を個人で購入する場合
  • 会社と取締役との間で売買が行われる場合(会社法356条)
  • 議決権の過半数を持つ株主が取引当事者に含まれている場合

 

それぞれの違いを以下の表にまとめました。

 

比較項目 取締役会議事録 株主総会議事録
主な使用場面 通常の不動産売却、経営判断の明確化 利益相反取引、会社と取締役が当事者となる取引
必須出席者 取締役全員、議決権を持つ監査役など 議決権を持つ株主全員(書面行使も可)
記載内容 日時、出席者、議題、決議の賛否など 開催通知、出席株主、議決結果、賛成反対比率
添付書類 印鑑証明書、省略証明、場合により登記識別情報 株主リスト、登記用添付資料、押印済み書面
利用される登記手続き 所有権移転登記、法人間契約証明 利益相反を伴う登記、第三者との信頼性確保

 

不動産売却時の取締役会議事録の正しい書き方を解説

議事録の基本構成 何をどの順番で書くべきか

 

まず、議事録に記載するべき項目の順序は、以下の通りです。

 

  1. 会議開催の日時と場所
  2. 出席取締役および監査役の氏名と出席状況
  3. 議長の氏名と選任経緯
  4. 審議された議題の内容と背景
  5. 決議内容と賛否の結果(全会一致・過半数賛成など)
  6. 特記事項(反対意見、附帯条件など)
  7. 議長および署名人の記名押印

 

これらの項目を正しい順番で記載することが、議事録としての正当性を高める鍵となります。

 

以下は、議事録の基本構成をまとめた表です。

 

項目 内容の要点
開催日時・場所 具体的な日時、会場名、オンライン開催の有無
出席者情報 出席取締役の氏名、役職、出席の方法(現地・オンライン)
議長の選任と氏名 議長の指名方法と氏名
議題の内容 不動産売却の理由、売買契約の条件、相手方、売買価格等
決議内容 承認の有無、賛成者数・反対者数、反対理由の有無
特記事項 登記識別情報の提出方法、押印省略の可否、印鑑証明書の有無など
署名・押印欄 議長および取締役1名以上の署名と実印

 

特に注意したいのが、売却する物件の詳細や、相手方との取引関係、取引価格が適正である根拠などです。取締役会において適正な審議が行われた証として、これらの内容はなるべく具体的に記載する必要があります。

 

記名・押印のルールと印鑑証明書の取り扱い

 

取締役会議事録には、作成された内容が正当であることを証明するための「記名・押印」のルールが存在します。法人の文書である以上、誰が承認したか、正式な決定であるかを明らかにするため、押印の有無や記名の順序は重要なポイントになります。

 

まず、一般的に取締役会議事録に記名・押印するのは以下のような立場の人物です。

 

  • 議長(通常は代表取締役)
  • 出席取締役の中から選出された署名人(最低1名)
  • 必要に応じて監査役(監査役会設置会社の場合)

 

押印には「認印」「会社実印」「代表者印」などがありますが、不動産の登記申請に用いる場合は、会社実印での押印が必要とされることが大半です。また、登記に関連するケースでは、押印された議事録に対し、印鑑証明書の添付が求められることがあります。

 

押印対象者 必須度 押印の種類 印鑑証明書の添付要否
議長(代表取締役) 原則として必須 会社実印 登記用途では添付が必要な場合あり
署名人(取締役) 多くの場合必須 会社実印または認印 通常は不要(ただし登記により異なる)
監査役 任意(設置会社のみ) 認印で可 添付不要

 

なお、法務局への提出時に、議事録に押印された印影と印鑑証明書の内容が一致していなければ申請が受理されないケースがあります。書類の提出前に、必ず以下の点を確認しておくと安心です。

 

  • 押印者が現在の登記上の代表者かどうか
  • 印鑑証明書が3か月以内に発行された最新のものであるか
  • 登記識別情報通知と内容が一致しているか

 

さらに、印鑑証明書の添付が煩雑と感じられる場合は、「原本還付制度」を活用する方法もあります。これにより、提出した書類をその場で返却してもらうことが可能となります。

 

最新対応 原本還付や省略が認められるケースとは?

 

不動産登記をはじめとした法人手続きにおいては、議事録や印鑑証明書の提出が義務づけられるケースが多いですが、法務局の運用や法令改正により、特定の条件下では「原本還付」や「添付省略」が認められるようになっています。

 

まず、「原本還付制度」は、提出した書類の原本をその場で返却してもらい、代わりに「原本と相違ない旨を記した写し」を添付する制度です。原本をそのまま保管しておきたい企業にとっては、非常に便利な仕組みとなっています。

 

この制度を利用するための条件は以下の通りです。

 

  • 提出時に「原本還付請求書」を添付すること
  • 原本に「原本と相違ない旨」を記した記名押印をすること
  • 提出書類が正規のものであり、偽造・変造されていないこと

 

また、一部のケースにおいては「印鑑証明書の添付そのものが省略できる」運用も認められています。以下のような場合が該当します。

 

  • 取引が社内取締役間で完結している
  • 代表取締役に変更がなく、継続して登記されている
  • 売却価格が小規模で、重要財産の処分に該当しない
  • 登記識別情報による本人確認がすでに完了している

 

利益相反取引がある場合の議事録対応は?

取締役と会社間の売買における法的要件とは?

 

取締役が会社との間で不動産の売買などの取引を行う場合、その取引は「利益相反取引」として会社法により厳格な要件が課されています。これは、取締役が利益を得る立場にある一方で、会社の業務執行者としての立場にもあるため、自己の利益と会社の利益が相反するおそれがあるからです。

 

利益相反取引に該当するケースでは、会社の資産処分にあたる不動産売却は、第三者との取引とは異なり、取締役会の承認を得ることが法的に義務付けられています(会社法第356条第1項第1号)。この際の承認には、利害関係のない取締役による決議が必要です。

 

加えて、利益相反取引の有効性を担保するためには、議事録の作成が欠かせません。議事録には次のような内容を正確に記載することが求められます

 

必須記載事項 内容の説明
会議の開催日時 実際の取締役会が開かれた日時を記載
会議の開催場所 物理的またはオンライン上の開催場所を明示
出席取締役の氏名 利害関係の有無も含め、全出席者を明記
議題 不動産売却に関する具体的な議案の内容
議決の方法と結果 承認・反対の数、利害関係人の除外も記録
議事の要旨 発言内容の要約や議論の経過を明示
議長・議事録署名者 会議の進行役と、議事録作成・確認の責任者を記載

 

株主総会の開催が必要な条件と議事録作成

 

利益相反取引の中でも、会社と取締役本人との間で重要な資産(不動産など)の売買を行う場合、株主総会による特別決議が必要となることがあります。これは、会社法第309条第2項第11号により「重要な財産の処分」に該当する場合、株主総会の承認を受けなければならないためです。

 

このようなケースでは、単に取締役会の承認を得るだけでなく、株主総会を招集し、適切な手続きを踏む必要があります。特に以下の条件に該当する場合は注意が必要です。

 

  • 不動産の帳簿価格が資本金の5分の1を超える場合
  • 利害関係取締役が全取締役の過半数を占める場合
  • 株主から事前に異議が出されている場合

 

株主総会の開催時には、議案の説明資料や売却対象不動産の詳細、第三者評価による価格査定書など、透明性を確保するための資料をあらかじめ準備しておくことが重要です。

 

株主総会議事録に記載すべき基本項目には以下が含まれます

 

必須記載事項 内容の説明
開催日時 株主総会の開催日・時間
開催場所 会場またはオンライン会議の情報
出席株主数 議決権数の過半数が必要(定足数の確認)
議案内容 不動産売却の議案の詳細(価格、売却先など)
議決の結果 可決・否決の票数、承認の有無
議長・議事録作成者 株主総会の司会と議事録の作成責任者の氏名

 

まとめ

不動産売却において議事録の正しい作成と取り扱いは、法人間取引の信頼性を確保するうえで極めて重要です。特に利益相反取引が発生するケースでは、取締役会や株主総会での適切な承認と議決内容の記録が、登記の受理可否や法的トラブルの回避に直結します。

 

会社法では、取締役が当事者となる売買契約は特別な手続きが必要とされており、誤った手続きや記載の抜けがある議事録では、法務局に提出した際に受理されない事例も少なくありません。また、印鑑証明書の原本還付や議事録添付の省略が一部認められるケースもありますが、それには厳格な条件が定められており、誤解して対応した場合は書類の再提出や契約無効につながるリスクもあります。

 

本記事では、利益相反取引に該当する場面での手続きフロー、議事録に記載すべき内容、原本還付や添付省略の可否を、法務局での実務に基づき詳しく解説しました。実際の記載例やチェックリストをもとに、手続きの流れを明確に把握することが可能です。

 

「うちは小さな法人だから大丈夫」「ひな形に沿って書けば問題ない」と安易に判断してしまうと、思わぬ損失や契約トラブルにつながる可能性があります。だからこそ、事前に正しい知識を持ち、適切な書類を準備しておくことが何よりのリスク対策です。

 

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よくある質問

Q. 議事録は売買契約書と併せていつまでに用意すべきですか?
A. 不動産売却に関する議事録は、売買契約書の締結前に取締役会または株主総会で決議されたうえで、正しく作成・記録しておく必要があります。登記申請の際に添付が必要なため、契約締結後に急いで準備すると記載ミスや押印漏れにつながりやすくなります。原則として、議決日と売買契約日との整合性が取れていないと法務局で拒絶される可能性もあるため、最低でも契約予定日の1週間前には議事録の用意を済ませておくのが安全です。

 

Q. 利益相反取引がある場合、議事録以外にどんな書類が必要ですか?
A. 取締役が売却の当事者となる利益相反取引では、株主総会議事録のほかに株主リスト、印鑑証明書、契約書の写しが添付書類として必要になることがあります。特に利益相反取引と判断されるかどうかは、会社法の定義や実務上の慣例に基づいて判断されるため、登記官が書類を精査する際には詳細な内容説明が求められます。法務局によっては原本還付の対応を求められる場合もあるため、あらかじめ司法書士に相談して必要書類の漏れを防ぐことが重要です。

 

Q. 株主総会議事録と取締役会議事録の違いがわかりにくいのですが、どう使い分ければよいですか?
A. 議事録の使い分けは売却の対象資産の重要度と取締役の利害関係の有無で判断されます。例えば、法人の主要な資産である不動産を売却する場合や、取締役が売主・買主のいずれかである場合には、株主総会での特別決議が求められます。一方で、日常的な取引や経営判断の一環での売却であれば、取締役会議事録だけで足りるケースもあります。誤った判断で必要書類を省略してしまうと、登記の却下や税務署からの問い合わせにつながることがあるため、必ず法務や税務の専門家に確認しましょう。

 

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